『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~

昨今の電気料金の高騰により、オール電化の住宅ですごい金額の電気代請求が来たというような話が多くのメディアで取り上げられています。 まるでオール電化はやめておいた方がいいと言わんばかりの勢いですが、実際のところどうなのでしょうか。
もちろん、オール電化にもメリットはあり、ガス併用と比較検討する余地は大いにあります。 今回は、オール電化かガス併用かを検討する際に考えるポイントを解説します。
【目次】
1. オール電化のメリット

- 基本使用料が一本化する
- 火を使わないので、火災の心配が少ない
- キッチン回りのお手入れがラク
- 室内の空気を汚さない
- 自家発電で電気代抑制
ガス併用の場合は電気とガスそれぞれの基本料金を支払いますが、電気に一本化すれば当然基本料金も1つだけになり、その分安くなります。
また、キッチン回りはシンプルな作りになるため、お手入れがとてもラク。そして火を使わずガス漏れの心配もないため、ガス併用よりも安全性が高いといえるでしょう。
2. オール電化のデメリット

- 設置の初期コストが高額
- 直火調理ができない
- 停電時に機能しなくなる(蓄電などがない場合)
- オール電化にできない家(場所)もある
オール電化を導入するにあたっては、どうしても初期コストが高くなります。自家発電機器などを設置すれば月々の電気代を抑えられますが、元が取れるのはかなり先になると思っておいたほうがいいでしょう。
また、家を建てる場所によっては、エコキュート(電気温水器)の設置スペースが十分にとれない、陽当りが悪くて太陽光パネルを設置しても十分な発電が見込めないこともあります。
3. オール電化に向いている人

- 昼間にあまり家にいない
- キッチン回りの掃除をラクにしたい
- 火事の心配をしたくない
- 太陽光パネルや蓄電池を設置している、あるいはこれから設置したい
オール電化の場合は時間帯別の電気料金が採用され、昼間は割高、夜間は割安になります。そのため、平日の昼間はほとんど家にいない人などは、昼間に太陽光パネルで発電→蓄電池に充電→電気を夜間に使うことで、電気代を抑えることが可能です。
また、キッチンなどの掃除がラクで、キレイな状態を保ちやすいため、生活感を出したくない人にも向いているでしょう。
オール電化は上記のように太陽光パネルや蓄電池との相性が良いため、既に設置してある、あるいはこれから設置を考えている場合もオール電化がおススメです。
4. ガス併用のメリット

- エネルギー効率が高く、環境にやさしい
- 乾電池式のコンロがあれば、停電時もガスを使える
- 電気とガスをうまく併用すれば、光熱費を抑えられる
ガスを燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、現在はその熱をうまく利用して効率よくエネルギーに変える設備などもあり、電気と比較しても環境にはやさしいのです。
ガスを燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、現在はその熱をうまく利用して効率よくエネルギーに変える設備などもあり、電気と比較しても環境にはやさしいのです。
また、冬の暖房はガスを使うなどシーンによって使い分けることで、光熱費を抑えることも可能です。
5. ガス併用のデメリット

- 火を使うため、火事が起こりやすい
- ガスが止まったときは復旧に時間がかかる
- プロパンガスの場合は料金が高い
火事が起こる可能性があるのは言わずもがなですが、電気もガスも止まってしまった場合は復旧を待つしかなくなります。また、ガス管は地下にあるため、電気より復旧に時間がかかります。
プロパンガスであればガス機器に異常がなければ災害時でも使えますが、都市ガスと違い価格が自由に設定できるため料金が高いことが多いです。
6. ガス併用に向いている人

- ガスの暖房機器を使いたい
- 昼間に家にいることが多い
- 都市ガスのエリアに住んでいる
電気の暖房機器は温まるのに時間がかかりがちなのに対し、ガスの暖房機器はパワーも強くすぐに温まります。
また、都市ガスの場合は電気料金とさほど変わらないこともありますので、オール電化のメリットにあまり魅力を感じない人は、ガス併用の方が向いていると考えられます。
7. まとめ
オール電化かガス併用かを検討する際は、まず現在の電気とガスの利用状況をしっかり確認しましょう。
どっちが優れているかではなく、どっちが自分に合っているかで考えることが重要ですので、上記を読んでご自身がどっちに向いているかの参考にしていただければと思います。
ご自身の住んでいる、あるいはこれから住みたい地域によっても向き不向きがありますので、これからの生活をシミュレーションしながらじっくり検討してください。
<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏
一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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