『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~

住まいの取得に際して、地震への備えは不可欠です。

日本は世界有数の地震大国です。2009年8月以降だけでも、震度6弱以上の地震は国内で28回も発生しており、住まいの損壊・倒壊によって多くの人命や財産が失われてきました。

2018年6月に政府の地震調査委員会が発表したデータによると、3大都市圏で今後30年間に震度6弱以上という強い揺れをともなう地震に遭う確率は東京都48%、名古屋市46%、大阪市は56%となっています。

ハウスメーカーもこうした状況は十分理解しているので、最新の住まいには大きな地震が発生しても被害を抑える仕組みが盛り込まれています。

住宅展示場を見学すれば、ハウスメーカー各社が競う耐震技術について、学ぶことができます。今回は家族を守るための「耐震性能」についてご紹介します。

住まいの耐震性能を示す「耐震等級」とは?

一口に「地震に強い家」と言っても、強さには違いがあります。地震に耐える強さを示す指標の一つが「耐震等級」です。

耐震等級は3段階に分かれていて、建築基準法をクリアできる最低レベルは1級とされています。耐震等級2級は1級の1.25倍、3級は1級に比べて1.5倍の耐震強度があるとされており、等級が高いほど、強い地震に遭っても、損害のレベルを小さく抑えることができます。

そんな住まいの耐震等級は設計段階で決まります。工法の選択や耐震技術の導入、柱や梁の太さ、壁の量など耐震性能につながる要素は設計段階で確定されるためです。

注文住宅の場合には施主が自由に設計を選択できるので、住まいの耐震性能について、まずは正しい知識を身につけておくのがおすすめです。

地震から家族や財産を守る3つの技術

激しい地震に遭っても住まいに大きな被害が出ないよう抑える技術には、「耐震」「制震」「免震」という3つがあります。

耐震:揺れに耐えて倒壊しない技術

耐震はその名の通り、「地震に耐える」技術です。具体的には耐震壁(地震の揺れに耐えるための壁)やすじかい(柱と柱の間に斜めに入れる補強材)などにより、建物強度を増すことで、強い揺れにも耐えられる建物を実現します。

導入コストがもっとも低いこともあり、現在、もっともたくさんの住まいに導入されています。建築基準法に準じて建てられていれば、激しい揺れに遭っても倒壊しませんが、躯体の損傷や家財道具の損傷は発生する可能性があります。

制震:揺れを吸収して被害を減らす技術

ダンパー(揺れを吸収する装置)を壁の中や柱と梁の継ぎ目などに設置して、住まいの揺れを吸収するのが制震です。

ダンパーには揺れを油圧シリンダーや揺れを熱に変える金属、ゴムやアクリル、シリコンなどの粘りと弾力性がある素材などが用いられます。

技術力の高いハウスメーカー各社が工夫をこらして、さまざまな技術を開発・導入しているので、営業マンと話をするときにはぜひ、説明を聞いてみてください。

ただ、制震ダンパーは経年や大きな地震などにより、劣化することがあるので、そういった問題についてもしっかり確認しておくのがおすすめです。

免震:揺れを建物に伝えない技術

免震装置により建物と基礎を切り離すことで、地面の揺れを建物に伝えないのが免震です。建物と基礎との間に入れる免震装置には伸縮する積層ゴムや転がるローラー、なめらかに滑る滑り材などが用いられます。

免震装置だけだと建物と基礎との位置関係を元にもどせないことがあるので、多くの場合はダンパーも使うことで、揺れがおさまった後は建物が元の位置にもどるようになっています。

地震の被害を抑える効果がもっとも大きい技術ですが、装置が少し大がかりなので、導入コストも大きめです。

耐震性で保険料などのコストに違いも

効果の大きな地震対策にはコストがかかりますが、その一方で、耐震性能が高い住まいを建てるといくつかの経済的なメリットも期待できます。

というのも、加入する人が多い地震保険の保険料は建物の地震対策に応じて、割引制度が設けられており、耐震性能が高い住まいほど、割引率が大きくなるからです。

もちろん、耐震性能を高めるためにコストをかけたぶん、実際に大きな地震が発生した際も、建物の被害が小さくなるため、修繕費用を抑えることもできます。

これから建てるマイホームにどの程度の耐震性能を求めるのかは、こうした視点からも検討することをおすすめします。

まとめ

住まいの耐震性能は家族の安全・安心を実現するためのとても大切な要素です。ただ、この記事で解説したように、さまざまなやり方があり、コストや耐久性、メンテナンスの頻度などが異なるので、少しわかりにくいかもしれません。

住宅展示場を訪れれば、各ハウスメーカーの営業マンから詳しい解説を聞くことができます。ダンパーなどの装置を見学できるモデルハウスもあるので、住まいに関心がある方はぜひ、見学してみてください。

<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏

一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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