『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~

HEMS(ヘムス)は「Home Energy Management System」の略で、電気やガス、水道の消費量をモニターを通して可視化し、使っていない家電機器をオフにしたりできる家庭用エネルギー管理システムです。

住宅の省エネ化が叫ばれ、太陽光パネルの設置やZEH住宅の普及が進められる中で、それらと組み合わせた節電施策の一つとしてHEMSは注目されています。

HEMSの役割を端的に言うと、「無駄な電力を使わないようにする」です。現状の太陽光パネルなどの再生可能エネルギーで作られる電力は、それほど多くありません。HEMSで電力を管理し、無駄なく使うことで電力の自給自足へ近づけます。

そんなHEMSも進化を遂げ、AIで家中の家電を自動コントロールする次世代HEMSが登場しました。 今回は次世代HEMSのメリットとデメリット、そして補助金についてご紹介します。

【目次】

  1. 次世代HEMSとは?
  2. 次世代HEMSのメリット
  3. 次世代HEMSのデメリット
  4. 補助金を活用!次世代HEMS実証事業
  5. 申請の流れ
  6. まとめ

1. 次世代HEMSとは?

従来のHEMSは住宅内に設置したモニターで管理し、電力利用管理も手動、あるいは設定した値を超えないように制御するといったものでした。

次世代HEMSはスマホやパソコンで遠隔管理ができ、AIが利用者の電力使用の傾向などを学習することで、自動で家中の家電をコントロールし、電力利用の最適化をしてくれます。 例えば、利用者の1日のスマホのバッテリー消費をHEMSで把握し、毎日50%程度しか消費しないので、家で充電する場合は80%までしか充電しないといったことができます。

もちろん、HEMSは家電側さえ対応していれば家中のあらゆる家電にリンクすることができるので、冷蔵庫やエアコンなどをコントロールして電気代の節約につながります。

2. 次世代HEMSのメリット

上でも述べましたが、次世代HEMSのメリットは電気代が節約できることです。無駄な電力消費を極力抑えながら自動でコントロールしてくれるので、管理も楽です。

もう一つのメリットは、環境に優しいということです。太陽光パネルや蓄電池などと合わせて設置すれば、電力を自宅だけで賄うことも可能なので、脱炭素にもつながります(化石燃料に依存しない)。

3. 次世代HEMSのデメリット

デメリットはやはり初期費用がかかることでしょう。家電もインターネットにつなげる必要がありますので、対応している家電を揃えるのにもお金がかかります。HEMSモニター単体はメーカーによりますが5~20万円ほどです。こういった機器はアップデートが発生しますので、メンテナンス費用も考慮しておきましょう。

また、分電版もHEMSに対応している必要があるので、対応していない場合はHEMS家庭分電盤に入れ替えないといけません。これから家を建てる方は、HEMS導入を考えていない場合でも、後の事を考えてHEMS家庭分電盤にしておくことをおすすめします。

4. 補助金を活用!次世代HEMS実証事業

次世代HEMS導入には安くない費用がかかりますが、普及を進めるために補助金制度が用意されています。それが「次世代HEMS実証事業」です。

HEMSの導入はもちろんですが、ZEH+の要件を満たしているなど、以下の条件をクリアした住宅に適用されます。(※ZEH+の要件についてはこちらを参照してください。)

  1. 「ZEH+の要件」を満たした上で、高度エネルギーマネジメントを選択し、かつ、蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入すること
  2. さらに、燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入することも可とする
  3. 太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量をさらに拡大することを目的に、AI・IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備えていること

補助額は以下です。

  • 112万円/戸
  • 蓄電システム(定置型)に対し2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算
  • V2H充電設備(充放電設備)に対し補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い金額を加算
  • 燃料電池に対し2万円/台
  • 太陽熱利用温水システムに対し、液体式は17万円/戸、空気式は60万円/戸

なお、申請対象者は新築住宅を建築する個人となっていますのでご注意ください。建売住宅を購入する場合は適用されません。

5. 申請の流れ

補助金申請の基本的な流れは以下の通りです。

①ZEHビルダーあるいはプランナーに相談

②交付申請書・添付書類を作成しSII(※)に提出。

③SIIが申請を審査し、問題なければ交付決定

2023年の次世代HEMS実証事業の公募期限は11月10日(金)までですので、申請する場合はZEHビルダーやプランナーに早めに相談しましょう。

ZEHビルダー:建設会社(ハウスメーカーや工務店)など

ZEHプランナー:建築設計会社など

※SII(一般社団法人環境共創イニシアティブ)

6. まとめ

次世代HEMSとZEHの普及が進めば、発電所や輸入電力への依存が減り、最終的には自国で電力が賄えるようになるかもしれません。また、それぞれの家が小さな発電所になるので、災害等で停電が起きてもある程度は生活できます。

住宅展示場にはHEMSを設置しているモデルハウスもありますので、気になる方は一度実物を見てみることをおすすめします。

<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏

一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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