住まいの断熱性能や遮音性能は快適性に大きく関わる要素です。もともと、木造軸組工法が主だった日本では、住まいにそういった性能を求める考えがあまり強くありませんでした。

しかしながら、最新の住まいにはさまざまな技術が盛り込まれており、断熱性能・遮音性能が高いレベルで実現されています。

このページではそんな断熱・遮音についての考え方を紹介していきます。

新しい住まいの価値は断熱・遮音にあり

家の価値に関わる性能の中でも、断熱性能や遮音性能は大きな割合を占めます。家族の「住」をまかなう住まいにはさまざまな性能が求められますが、断熱性能や遮音性能は快適性や家族の健康に直結する要素なのです。

日本には四季があるため、多くの地域で夏は最高気温が30℃を上回り、冬の最低気温は10℃を下回ります。家の中であっても冷房・暖房なしに過ごせる日はあまり多くありません。

屋内の極端な高・低気温は不快なだけでなく、熱中症やヒートショックといった思わぬ健康トラブルの原因にもなります。

同じように、遮音性能も生活の質に大きく影響します。快適に暮らすためには家族間のプライバシーは大切ですし、家の中から外に音が筒抜けだと、近隣との関係にも影響します。

もちろん、外の音を家の中に入れないことも大切。住まいの中で快適に過ごすために、遮音はとても重要なのです。

意外と知られていない熱と音の正体

断熱や遮音を考える上で、まず理解しておきたいのが「熱や音ってなんだろう?」ということ。少し難しい話になりますが、熱や音の正体がわかると、効果的な対応の方法が見えてきます。

まず、熱の正体は「分子の振動」です。中学校で習いますが、家も、空気も、人の身体も分子という小さな単位が集まってできており、分子は常に振動しています。この振動が熱の正体。熱いものは振動が激しく、冷たいものは振動が少ないのです。

ですから、「熱が伝わる」というのは、あるものの振動が別のものに伝わること。そんな熱の伝わり方には伝導、放射、対流という3つがあります。

伝導 固体の中で、温度が高い部分から低い部分へと熱が伝わること。壁の一面が熱くなると、裏側も熱くなるのは伝導のせい。
放射(輻射(ふくしゃ)とも言われる) 熱いものから放射される電磁波によって、熱が伝わること。太陽が熱く感じられるのは太陽光に含まれる輻射熱のせい。
対流 温度差のある液体や気体が流動することで、熱が移動すること。お風呂のお湯が均一に温まるのは対流のせい。

音も同じく振動です。こちらは物体そのものの振動で、振動するものの種類によって、空気音、固体音、その両方が合わさった混合音に分類されます。

音の大きさはデシベルという単位で示されますが、単に大きさだけでなく、周波数(音の高さ)によっても伝わり方や不快感が異なります。

断熱や遮音について考えるときは、こうした分子の振動をどう抑えるかがポイントになります。

断熱は遮熱、気密と一緒に考える

住まいの断熱性能を考える際には断熱に加え、遮熱、気密という三本柱を意識する必要があります。

外気温や日射が室内の気温に影響するのを抑えるはたらきを一般に「断熱性能」と呼びますが、断熱は本来、熱の伝導を抑えることを意味します。

また断熱だけでなく、遮熱と気密も実現することで、室内の温度環境を快適に保ちやすくなるのです。

断熱については熱伝導率の小さい素材(断熱材)を用いるのが一般的。家を構造体の外から断熱材でくるむ外断熱と柱と柱の間に断熱材を入れる充填断熱、構造体の内側に断熱を入れる内断熱があります。

構造の種類によってメリット・デメリットが異なります。一般的にコンクリート造の場合は外断熱の方が構造材(コンクリート)の表面温度と室内の空気が近い温度になるため結露も少ないといわれます。

熱の大半は窓から出入りするので、二重窓やペアガラスなどを導入することでも、大きな断熱効果を実現できます。

遮熱については主に遮熱シート等の遮熱材を使用することで、熱の出入りを減らせます。夏は外からの放射熱をカットし、冬は内から外へ熱が出ていくのを抑えられるのです。

こういったいくつもの効果を総合して実現できる住まいの断熱性能は「Ua値」や「等級」で示されます。

楽器演奏だってできる! 音は重さで軽減する

遮音の基本は音が伝わるのを抑えることにあります。効果的なやり方は断熱に似ているので、熱が伝わらないよう、断熱性、気密性を高めれば、家の外から内へ、内から外へといった音の出入りを抑えることができます。

たとえば、窓のガラスを複層ガラスにすれば、住まいの内と外を音が出入りするのを抑えられます。
部屋と部屋、上下階といった屋内の音の伝播を抑えるためには遮音性能が高いフローリング材を使ったり、床材の下に防音シートや吸音材を入れたりといった方法がよく用いられます。

重たい部材ほど音を伝えにくい、という特徴があるので、音を意識して床材や壁材を選ぶことでも、生活音の伝わり方を抑えられます。

「楽器演奏が趣味」という人の場合には、さらに大きな音への対策が必要です。注文住宅であれば、吸音材を壁や天井に配し、気密性を高めた「防音室」を作ることもできます。

遮音性能はパンフレットを読んだり、説明を聞いたりしても、なかなか実感しにくいものです。住宅展示場を見学する際には、「バルコニーで音を鳴らして屋内で聞く」「上階で足音を立ててみて、下の階で聞く」といった実験をして、新しい住まいの遮音性能を実感してみるのがおすすめです。

まとめ

断熱や遮音性能には数値による評価がありますが、体感してみないと、その価値はなかなかわかりません。

住宅展示場を訪れた際には、意識的に内と外の温度差や音の響き方を体感してみてください。

<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏

一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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