『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~

近年、季節や地域を問わず水害のニュースを多く目にするようになりました。台風だけでなく、ゲリラ豪雨や線状降水帯など、いつどこで水害に遭うかわからない状況です。

床上浸水など家が一度水に浸かってしまうと、復旧に多くの時間と費用がかかりますし、家屋の劣化が早まってしまったり、最悪の場合は転居を余儀なくされます。

戸建ての水害対策としては、土嚢(どのう)や止水板などが思い浮かびますが、今回は家を建てる段階でできる水害対策について解説します。

【目次】

  1. 水害とは?
  2. 土地が一番重要
  3. 家づくりでできる水害対策
  4. まとめ

 

1. 水害とは?

水害は大きく「外水氾濫」と「内水氾濫」に分けられます。

・外水氾濫(がいすいはんらん)…川の水が堤防の高さを超えたり、堤防が決壊することにより、大量の水が市街地や田畑に流れ込む水害。昔は水害といえばこちらが一般的でした。

・内水氾濫(ないすいはんらん)…市街地に大雨が降り、下水道や排水路で処理できる水量を超えた際に発生する水害。マンホールから水が溢れてしまっているような状態を想像していただければわかりやすいかと思います。アスファルトやコンクリートなど透水性の低い材料で覆われている都市部では、地面が水を吸収してくれないので、下水道などで雨水をどれだけ排水できるが鍵となります。

 

2. 土地が一番重要

水害に遭わないためには、土地選びが最も重要です。日本中どこでも水害リスクがありますが、少しでもリスクが低い土地を選ぶに越したことはありません。

<水害が起きやすい場所>

海や川の近く

海や川の近くは景色が良かったり、風通しが良いなど住んでみたくなる魅力がいっぱい。しかし、水害に遭いやすい場所であるのは容易に想像できます。海や川の近く全てが水害リスクが高い訳ではないですが、リスクを承知で購入する場合は家の水害対策をしっかりしておくことをおすすめします。

埋立地

一般的に埋立地は地盤が緩く、特に田んぼを埋め立てた土地は周囲より低い傾向があったりと注意が必要です。

標高、海抜が低い場所

周辺より低い場所にある土地には、当然水が流れ込みやすく、溜まりやすくなります。逆に丘の上など高いところにある土地は水害リスクが低いことが多いですが、丘の中腹は土砂災害のリスクがあるので、事前に確認しておきましょう。

<ハザードマップを確認しましょう>

土地やマイホームの購入前に、検討している地域の水害リスクを知るのにはハザードマップが役に立ちます。ハザードマップは国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」で閲覧可能です。購入を検討している土地の水害リスクだけでなく、周辺地域の水害リスクも確認しておくといいでしょう。

また、洪水リスクだけでなく土砂災害リスクもわかりますので、合わせて確認することをおすすめします。

ハザードマップについては別記事で取り上げていますのでこちらをご覧ください。

【土地選びにも活躍!国土交通省のハザードマップがすごい 】

 

3. 家づくりでできる水害対策

地盤を高くする

敷地に盛土をして高くすることで、浸水を防ぎます。ただ、地盤沈下しないようにしっかり締め固めるのと、強度の高い擁壁を設けること。また、矢板と呼ばれる鋼製の杭を打ったり、元々の地盤まで杭を打ち込んだりすればより安心です。

高床構造にする

基礎を高くしたり、ピロティ構造にすることで床の高さを上げます。ピロティ構造は耐震性が落ちやすいので、十分な強度を確保するようにしましょう。

防水壁を設ける

家の周りに防水壁を設けることで、水の侵入を防ぎます。水圧に耐えられる壁の強度と基礎の深さが重要になります。

防水性の外壁にする

RC(鉄筋コンクリート)は木造や鉄骨造の建物とは異なり、基礎コンクリートと外壁が一体になっているため浸水は防ぎやすいですが、1階外周の腰壁をRC造にすればさらに浸水のリスクを下げることが期待できます。 防水壁で家を囲むのにはその分土地の広さも必要ですので、家自体の外壁を防水にするほうが現実的かもしれません。

 

火災保険に水災補償を付けておく

これは家自体の水害対策ではありませんが、万が一水害に遭った場合、特に床上浸水した場合などは復旧に相当なお金がかかりますので、それに備えて火災保険の水災補償を付けておくのも一つの対策です。「水害保険」というものはなく、火災保険に付帯させる形になります。水災補償を付けない方が保険料は安くなりますが、住む土地の水害リスクを評価した上で付けるか外すかを判断しましょう。

他にも、コンセントを水に浸からないくらいの高い位置に設置したり、2階だけでも生活ができるように設計するなども水害対策になります。キッチンやトイレなどの水回り、分電盤や蓄電池などを2階に配置しておけば、1階が浸水して使えなくなっても2階で問題なく生活できる可能性が上がります。

 

4. まとめ

今回は土地と家でできる水害対策をご紹介しましたが、水害が発生する恐れが高い場合は早めに避難することが基本であることを忘れないようにしてください。水害は地震と違って前もって対処ができる災害です。土地や家を購入する際は、避難所と避難経路を確認しておきましょう。

<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏

一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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