『住まいるブログ』~知って得する住まいの基礎知識~

ネットニュースなどでも度々取り上げられている「日本の空き家問題」。全国にある空き家の数は、2018年の調査で848万9千戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めていることが分かりました。

10戸に1戸以上は空き家なのです。空き家は現在も増え続けており、管理が行き届いていないと景観を損ねたり、火事の原因になったりと社会問題となっています。

そんな中、京都市が2022年3月に「非居住住宅利活用促進税」、いわゆる「空き家税」を条例で定め、2023年3月24日に総務省がその創設に同意しました。

【目次】

  1. 空き家税の概要
  2. 空き家税の課題
  3. まとめ

1. 空き家税の概要

空き家税は文字通り、非居住住宅(空き家や別荘)の利活用(売ったり貸したり)を促進する税で、2026年以降に導入されます。空き家に税金をかければ、その空き家の所有者は課税を避けるために売却や賃貸へ動くだろう、ということです。

具体的には空き家などの所有者に対し、家屋の評価額の0.7%を固定資産に加えて課税します。ただ例外として、資産価値の低い家屋を所有し売却できないという人に配慮するため、税の導入から5年間は固定資産評価額が100万円未満の建物を対象外にするとしています。

空き家が不動産として流通することで期待される効果としてはの次の2つがあげられます。

  • 京都市内の住宅不足の解消、供給増加により不動産価格の高騰を抑制
  • 地域の活性化を図り、京都市の人口減少を食い止める

京都市は人口減少数が2020年、2021年と2年連続で全国1位になっており、それに歯止めをかけるべく様々な対策を打っています。

空き家が減ることで移住しやすい環境が整い、子育て世代の京都市への移住が増える、あるいは京都市から出ていく世帯が減ることが理想です。ちなみに空き家税による税収は年間で9億5千万円を見込んでいます。

2. 空き家税の課題

空き家の所有者にはそれぞれの事情があり、例えば希望の価格で売却できない、取り壊しの資金がないといったパターンもあります。

評価額が低い家屋や保全が必要な京町家などは非課税とする方針とはいえ、公平性や透明性をいかに担保するのかが課題になってくるでしょう。

また、空き家が不動産として流通することが子育て世代の呼び込みにつながる補償はないので、若年層向けの移住支援策を盛り込むなど、移住を後押しするものが必要かもしれません。

3. まとめ

京都市の空き家税は、全国初となる画期的な試みです。効果次第では全国に波及していくことも考えられます。

導入されるのは2026年からですが、将来京都市に住みたい、あるいは京都市内で引っ越ししたいという方は、今後の動向を随時チェックする事をおススメします。

<この記事の監修者>

橋本賴幸(ハシモトヨリタカ)氏

一級建築士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、公社)大阪府建築士会、公社)日本建築家協会近畿支部、一社)大阪府建築士事務所協会など、京都美術工芸大学特任教授。

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