家をつくる時に知っておきたいのが、地震や台風が起きたときに
それに耐えられる強度があるかどうかということ。
現在は建築基準法で、建築物を建てるときに守るべき
地盤の強さや建物の構造設計が定められています。
今回は、その基準についてわかりやすくご紹介します。

地盤の強さのために

建物を支える地盤の性質によって、建物が受ける影響は変わってきます。
阪神淡路大震災のとき、同じような住宅が建ち並ぶ中で、盛土を含む地盤の上の住宅は軒並み傾いてしまいましたが、切土の上の住宅は傾きませんでした。

また粘性の高い地盤では、徐々に沈んでゆく現象が懸念されますし、砂質の地盤では、地下水で飽和状態の時に地震が起きると、砂地盤を構成する砂粒が地下水とともに沸騰したり噴出する液状化現象が懸念されます。

ですから、地盤の生い立ちを調べることや地盤の専門家の意見を聞くことは、地盤の強さを知るための重要な要素といえます。

建築基準法では、地盤がどれだけの加重に耐えられるかを、1㎡あたりの重さで表す「地耐力」に応じた基礎を設計するように定めています。

戸建住宅の場合、地耐力は「スウェーデン式サウンディング試験」により調査し、下のような地盤に応じた基礎を設計することにより、地盤の強度を保つようにします。

  • 30kN(ニュートン)/㎡以上の場合・・・「べた基礎、布基礎」
  • 20kN/㎡以上30kN/㎡未満の場合・・・「杭基礎、べた基礎」
  • 20kN/㎡未満の場合・・・「杭基礎」

建物の強さのために

建物の強さについては、建築基準法で構造設計の3つの原則を定めています。

① 外力に対する構造上の安全性
柱、はり、床、壁等を有効に配置して、建築物全体が自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧ならびに地震その他の振動及び衝撃に対して、一様に構造耐力上安全であるようにする。

② 水平力に耐え得るバランス
主要な部分は、建物の重心と壁をつり合い良く配置し、建築物に作用する水平力に耐えるようにする。

③ 剛性(変形のしにくさ)、靭性(粘り強さ)
主要な部分には、仕様上の支障となる変形または振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靭性をもたせる。

そして、「60m超の超高層建築物」か、「60m以下の建築物」か、「2階建て木造等の建築物」かという区分に応じて、次のような構造方法に関する基準を定めています。

住宅の強さのために

[木造軸組工法]の場合

前表のように、私たちの身近な2階建て木造住宅は構造計算が不要な建築物ですが、日本で最も多い工法である木造軸組工法においては、構造耐力上必要な軸組等、技術的基準に適合することが建築基準法施行令により求められています。

具体的には、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向(建物の長さが短い部分)及びけた行方向(長さが長い部分)に、それぞれ壁または筋かいを入れた軸組をつり合いよく配置するように規定されています。

また、2階建て以上または述べ面積が50㎡を超える木造の建築物については、次の式により、材質やサイズ、筋かいの入れ方によって異なる軸組に応じて、「安全な軸組の長さ(壁量)」を算出して確認するように規定しています。

式中の「地震力」については、比較的頻度の高い震度5弱程度の地震についてはほとんど被害がないように。震度6程度の「関東大震災級の極めてまれにしかおこらない大地震動に対しては、重大な損傷がなく、崩壊するまでに人命を守ることができる設計とするように定められています。

「風圧力」については、単位面積あたりの壁面に作用する風による圧力で、1934年の室戸台風時の観測地に基づいて規定されています。

さらに、柱・はり・壁・小屋組・斜材などの構造耐力上主要な部分に使用する木材には、節、腐れ、繊維の傾斜、丸みなどによる耐力上の欠点がないものを使用するように定められています。

[プレハブ工法]の場合

現在では、プレハブ工法の弱点だったといえる「設計の自由度」を高めた商品を各メーカーが開発しています。
そしてそれぞれの家にかかる建物自体や家具等による「長期荷重」と、地震や風圧・積雪などの「短期荷重」に対して、メーカー独自の工法や構造に応じた構造計算や実験を繰り返し行い、安全性を確認しています。

さらに、多くのプレハブメーカーが2000年からスタートした住宅性能表示制度※を利用していて、「倒壊防止」・「破損防止」とも72%近くが最高レベルである等級3を取得しており、優れた耐震性能を確保しています。

※住宅性能表示制度とは、建物の構造躯体の強さについて「倒壊防止」「損傷防止」の2項目で耐震等級を評価しているもの。

「倒壊防止」…数百年に1度起こりうる地震の大きさの力に対して、「損傷は受けても人命が損なわれるような壊れ方をしない」とするもので、建築基準法レベルの最低基準を満たすものが「耐震等級1」、その1.25倍の強度が「耐震等級2」、1.5倍の強度が「耐震等級3」に定められています。

「損傷防止」…数十年に1度起こりうる地震の大きさの力に対して「大規模な工事を伴う修復を要するほど著しい損傷が生じない」とするもので、建築基準法レベルの最低基準を満たすものが「耐震等級1」、その1.25倍の強度が「耐震等級2」、1.5倍の強度が「耐震等級3」に定められています。

[2×4工法]の場合

2×4工法は、骨組みとして断面が2×4インチ(3.8㎝×8.9㎝。1インチ=2.54㎝ですが、乾燥させる段階でサイズ変化するため、3.8㎝×8.9㎝で規格化されています。)の角材を使用した枠に合板等を釘で打ち付けたパネル状のものをつなぎ合わせて家をつくっていきます。

2×4工法で建てた家は、床・壁・屋根が一体となった6面の強固な一体構造のため、地震や台風などの外力が構造の1ヵ所に集中せず、分散してバランスよく受け止めて地盤に逃がすため、十分な耐震性をもった家ができます。

さらに2×4工法は、国土交通省告示1540号で細かく仕様が決められているため、それを守っていれば十分な耐震性が確保されているといえ、阪神・淡路大震災でも2×4工法の耐震性の高さが注目されました。

[2×6工法]の場合

2×6工法は、2×4工法よりも断面サイズが大きい2×6インチ(3.8㎝×14㎝)の角材を使用した枠に合板等を釘で打ち付けたパネル状のものをつなぎ合わせて家をつくっていきます。

2×4工法で使用する角材よりも約5㎝幅広の角材を使用するため、外壁厚は、2×4工法の約1.5倍の厚みになります。
そのため、鉛直方向の力に対する強さや曲げ応力に対する強さは、2×4工法で建てた家よりも強くなります。

[鉄筋コンクリート工法]の場合

鉄筋コンクリート工法は、鉄筋で骨組みをつくり型枠材で建物の形をつくって、コンクリートを型枠に流し込んで家をつくっていく工法です。一般的にRC(Reinforced Concrete)造といわれています。

鉄筋が引っ張りに対する強度を、コンクリートが圧縮に対する強度を持つため、引っ張りと圧縮どちらにも強く、アルカリ性のコンクリートが鉄筋の錆化を防ぎます。

そのため長期間安定した強度と精度を維持することができ、地震・台風だけでなく火災にも圧倒的な強さを発揮します。

配筋のピッチやコンクリートの配合を変えることで強度を高めることができるため、ビルやマンション、ダムや橋梁などの大型建築でも多く採用されています。

ただし、自重が重いため、RC造を検討するときは地盤をよく調査する必要があります。

[工法による強さの違い]

建物の耐震性は建築基準法で定められており、何度も改正がなされています。
特に木造軸組工法の耐震性は、阪神淡路大震災後の2000年に行われた改正で、今回ご紹介した通り大幅に向上しています。
したがって建築基準法の2000年の改正後においては、工法の違いによる平均的な耐震性の差はないといえます。

「耐震」、「制震」、「免震」構造はどう違う?

地震に耐える建物の構造としては、「耐震」・「制震・「免震」に分けることができます。
「耐震」構造は、地震時に建物に生ずる応力に十分に耐え得る強さの設計に配慮することで安全性を確保しようとするものです。

「制震」構造は、建物の揺れを制震ダンバーなどによりエネルギーを吸収させ、揺れを減じることで安全性を確保しようとするものです。

「免震」構造は、建物の足元に、ゴムと鉄板を交互に重ね合わせた積層ゴムなどの免震装置を設置し、建物の長周期化を図り、地震との共振を避けることで安全性を確保しようとするものです。
ただし住宅の免震構造の場合には、地盤が堅固であることが条件になります。


国民の生命、健康および財産の保護を目的に、建築物の敷地・構造・設備に関する
最低基準を定めている建築基準法。
1950年に制定後、大地震が起こるたびに改正が繰り返されてきました。

中でも、宮城県沖地震を受けて1981年に改正された「新耐震基準」を満たしている建物が
現在、一定の耐震能力を備えているという目安になっていて、
最低限度のもので、数百年に一度の大地震(震度6強~7)でも倒壊・崩壊しない程度です。
そして2000年には阪神・淡路大震災を受け、さらなる耐震性の向上が図られています。

今、お住まいの家の建築年を確認してみて、もしも強度について心配な場合は
耐震診断を受けてみてもいいかもしれません。

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